フォーミュラE最終戦の劇的な結末

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サム・バード(ヴァージン)運命のフォーミュラE最終戦は、最後まで目を離せない、激しいバトルが続きました。予選の時とは打って変わり、上空には青空が広がり、まばゆい日差しが木漏れ日となってコース上に降り注ぎ、路面は、大方乾いています。

レースを制したのはサム・バード(ヴァージン)でしたが、初代チャンピオンには予選で雨に祟られたせいで16番グリッドに沈んだものの、そこから7位にまで挽回したネルソン・ピケJr.が輝きました。
前日に行われた第10戦で勝利を収めたセバスチャン・ブエミ(e.ダムス・ルノー)は、5位でゴールしたものの、僅か1ポイントの差で涙を呑みました。もうひとりタイトルの可能性を残していたルーカス・ディ・グラッシ(アウディ・アプト)は6位、山本左近はリタイアに終わっています。

スタート

ロンドン最終戦アレックス・フォンタナ(トゥルーリ)が大きくスタートミスし、後方へ下がります。
ブエミはブルーノ・セナ(マヒンドラ)を抜いてポジションをひとつ上げるも、若干の接触があったようで、ディ・グラッシは9番手、ピケJr.は12番手に順位を上げています。

ただし、ピケJr.のペースは上がらず、11番手を行くチームメイトのオリバー・ターベイから徐々に引き離されてしまい、5周目の段階では約6秒の差がつきます。
なおこの5周目、ファビオ・ライマー(ヴァージン)の右フロントフェアリングが外れて飛び上がってしまいます。山本左近やダニエル・アプト(アウディ・アプト)らに当たりそうでしたが、なんとかこれをかわして事なきを得ました。

7周目、ヤルノ・トゥルーリ(トゥルーリ)を攻めていた山本左近は、トゥルーリに追突。左近はこの事故でサスペンションアームを壊してしまい、そのままリタイア。左近はこれでフリー走行2回目、予選、決勝と、3セッション連続のクラッシュ、しかも2戦連続リタイアという、残念なデビューとなってしまいました。

8周目

8周目を終えたところでニック・ハイドフェルド(ベンチュリ)がマシントラブルのため緊急ピットインし、早々にマシンを乗り換えます。

ネルソン・ピケJr.

ネルソン・ピケJr.

ペースの上がらないピケJr.でしたが、他車と比べてエネルギー残量が多く、11周目頃、多くのマシンが残り30%を切っているところ、ピケJr.はまだ38%ものエネルギーを残していて、ピットインのタイミングを遅らせる戦略であることが明るみに出ます。
12周目には前と2秒近く離れていたブエミは、ファンブーストを使用し、この時点でのファステストタイムを記録します。
フォーミュラEでは、ファステストラップにも2ポイントが与えられることになっているので、この2ポイントはチャンピオンを争うブエミにとっては非常に貴重。

14周目

ポールポジションからスタートし、首位を快走していたステファン・サラザン(ベンチュリ)、ロイック・デュバル(ドラゴン)らがピットイン。ディ・グラッシもこのタイミングでピットイン。ブエミは7%、ピケJr.は14%エネルギーを残し、ここはステイアウトします。

e.ダムス・ルノーチームスタッフ

e.ダムス・ルノーチームスタッフ

ブエミは15周目にピットイン。4番手でコースに復帰するも、ターン3で痛恨のスピンで順位を6番手に落とします。ピケJr.はこの周もステイアウト。先頭グループよりも2周も走行距離を伸ばすことに成功します。

続く周回でピケJr.がピットインし、10番手でコースに復帰。しかし、後方からはニコラス・プロスト(e.ダムス・ルノー)が迫ります。
ピケJr.はアウトラップのターン3でリヤを滑らせながらもポジションを死守。さらにこの周、チームメイトのオリバー・ターベイがピケJr.を援護。1分27秒463を記録し、ブエミからファステストラップを奪い取ります。

19周目

ヴァージンのライマーがクラッシュし、セーフティカーが出動。隊列が詰まり、これでチャンピオン争いの結末はますます分からなくなってきます。
そして22周目からレースが再開。ターベイとピケJr.のネクストEV TCRの2台が同時にファンブーストを使って前を追います。バードはデュバルを抜いて2番手に浮上。この間隙を突いて、デュバルのチームメイトのジェローム・ダンブロジオ(ドラゴン)も3番手に浮上。

23周目

ネクストEV TCRチームスタッフ

ネクストEV TCRチームスタッフ

ターベイがピケJr.にポジションを譲ってピケJr.が9番手に。
ピケJr.はその勢いのままにアムリン・アグリのサルバドール・デュランまでもターン14でオーバーテイク!この時点で8番手に上がり、このままチェッカーを受ければ1ポイント差でチャンピオン、という位置まで追い上げてきます。

25周目

ブルーノ・セナ ブロック

ブルーノ・セナ ブロック

そのままの位置にいてはチャンピオンにはなれないブエミが、ファンブーストを使ってセナに攻撃をしかけますが、セナのブロックは巧みであり、しかもブエミが通ったライン上には大きなデブリが落ちていて、オーバーテイクは不発。その後もブエミはセナを攻め続けますが、なかなか攻略できません。28周目にはブエミのノーズがセナのリヤエンドに完全に当たる位置まで攻め立てても、やはり抜けません。

迎えた最終ラップ。

20周目以降からのサラザンとバードの先頭争いも熾烈ですが、サラザンのバッテリー残量は残りわずか。それでも最後までサラザンがバードを抑えきり、トップでチェッカーを受けます。
しかしサラザンのバッテリー残量は、チェッカーを受ける前にゼロ表示となっていて、49秒加算のペナルティ。これでバードが第2戦プトラジャヤ以来となる2勝目を飾ることになりました。2位にはダンブロジオ、3位にはデュバルと、ドラゴンの2台が2-3を占めました。

気になるチャンピオン争い

ネルソン・ピケJr.

ネルソン・ピケJr.

最終ラップのターン15、ブエミがセナのイン側につき、ホイール同士が接触するサイド・バイ・サイド状態でも抜けず、そのまま6番目でチェッカー。ディ・グラッシ、ピケJr.と続けてチェッカーを受けます。

ただ、サラザンにペナルティが課せられ、それぞれの順位はひとつずつ繰り上がり、結局ピケJr.が通算獲得ポイントを144、ブエミに1ポイントの差でフォーミュラEの初代王者に輝きました。ディ・グラッシは133ポイント獲得でシーズンを終了しています。

これまでの各レースも然ることながら、今回のレースは特に、各ドライバーが誇りとそして初代の王者をかけての激戦でした。

ネルソン・ピケJr.に涙

ネルソン・ピケJr.に涙

特にチャンピオンを獲得したピケJr.は、予選での降雨+赤旗中断という不利を受けながらも、クレバーの戦略と果敢なドライビングで追い上げ、チャンピオンをもぎ取ったのはお見事です。対するブエミは、アウトラップでのスピンさえ無ければと、悔やまれます。

これでフォーミュラEの第1シーズンが終了しました。
次のシーズンからは、パワートレインの開発が解禁されることになります。また、DS(シトロエンの1ブランド)などの参入が発表されて、人と人の戦いに、より高度なテクノロジーの戦いが加わってくることになりそうです。第2シーズンは、今年の10月に北京で開幕する予定です。

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